南ア北部 北岳(3193m)、中白根山(3055m)、間ノ岳(3189.1m)、西農鳥岳(3051m)、東農鳥岳(3025.9m) 2013年8月10〜12日  カウント:画像読み出し不能

所要時間

8/10 6:30 広河原−−8:17 二俣−−9:21 標高2600m(休憩) 9:45−−10:05 小太郎山分岐−−10:31 肩の小屋(幕営)

8/11 4:24 肩の小屋−−4:52 北岳(休憩) 5:25−−6:09 北岳山荘−−6:38 中白根山−−7:26 間ノ岳(休憩) 8:12−−8:57 農鳥小屋−−9:43 西農鳥岳(休憩) 10:06−−10:32 東農鳥岳(休憩) 10:45−−11:11 下降点−−12:17 沢で休憩 12:34−−12:45 大門沢小屋(幕営)

8/12 4:52 大門沢小屋−−6:12 取水堰−−6:27 林道−−6:53 開運隧道−−7:19 奈良田

場所山梨県南アルプス市/南巨摩郡早川町/静岡市
年月日2013年8月10〜12日
天候晴。午後はガス
山行種類幕営縦走
交通手段マイカー
駐車場奈良田に第1(狭い)/第2(広〜い)駐車場あり
登山道の有無あり
籔の有無無し
危険個所の有無北岳周辺の稜線がやや険しいが、危険というほどではないと思う
山頂の展望どの山頂も森林限界を超えて大展望
GPSトラックログ
(GPX形式)
無し
コメント・好天の中、白根三山を縦走。天気が良すぎて暑かった! 甲府では最高気温が40.7℃と40.2℃だった。最終日は四万十市で41℃の国内最高記録。初日は汗だく、ガスが出るまではテントの中は地獄。2日目は3000m稜線の縦走で涼しかった。夕立に降られることはなかった

・奈良田〜広河原間のバスは補助席が無く、座席が満席になると立たされる! 特に平日は基本的にバス1台で運行されるため、第2駐車場からバスに乗ると始発の第1駐車場で既に満席近くになっており、最初の数人以外は座れない。確実に座るためには第1駐車場のバス停まで歩いて並ぶこと。土日は複数台のバスで運行され2台目以降は第2駐車場発となるが、これも満席になると立たされる。できるだけ早めに並ぶか、第1駐車場まで歩くこと。第1駐車場は容量が少なく、満車になってもバスの方は満席にならず確実に座れるため。


ルート図(クリックで拡大)
1日目ルート断面図
2日目ルート断面図
3日目ルート断面図


奈良田第1駐車場。ここに車を置けた 休日は複数台のバスで運行。2台目以降は第2駐車場が始発となる
広河原バス停 広河原インフォメーションセンター。トイレは大混雑
北沢峠方面ゲート 北岳バットレスと大樺沢
吊橋からスタート 広河原山荘

白根御池分岐。ここまでにかなりの人に抜かれる 通過者数カウンター
大樺沢左岸を登る 開けた場所
道は右岸に移る まだ人が多く混雑
左岸に渡り返す 雪渓が見えてきた
二俣。ここで大樺沢を離れ肩の小屋方面へ グンナイフウロ
これから登る右俣。花が多い
最初は雪渓沿いを登る トリカブト
ナデシコ(タカネナデシコ) センジュガンピ
大樺沢の登山者 たぶんミヤマバイケイソウ
北岳
1か所だけ傾斜が緩む
森林限界ギリギリで休憩 周囲はダケカンバ
森林限界突破 白根御池分岐
カンカン照りの中を登る ウサギギク
たぶんシナノキンバイ
タカネヤハズハハコ(タカネウスユキソウ) 

クルマユリ

お花畑を登る
小太郎山分岐から見た東側の展望
小太郎山分岐から見た北側の展望
小太郎山分岐から見た南側の展望
肩の小屋向けて稜線を歩く
肩の小屋 肩の小屋テント場から見た北岳
イワヒバリ 肩の小屋から見た鳳凰三山
肩の小屋北側のテント場。でも稜線上なので西風が避けられない
水場へ続く斜面はお花畑 ハクサンイチゲ
? 黄色系統は似たものが多く素人の判別困難 ミヤマオダマキ
ミネウスユキソウ
イワベンケイ テガタチドリ
タカネシオガマだと思う 毛がないのでイワギキョウ

水場 今年はかなり細かった。1リットルで2,3分必要
肩の小屋東側のテント場。夕方にはもっと増えていた
毛があるのでチシマギキョウ トウヤクリンドウ
ガスが出てきた 遭難者救助のヘリ。1人吊って収容された
ブロッケン現象 翌朝、北岳への登り
北岳山頂が見えた 北岳山頂
日の出。雲海から登ったため予定より10分遅れ 北岳三角点
北岳から見た乗鞍岳 北岳から見た富士山
北岳から見た南側の展望(クリックで拡大)
北岳から見た北側の展望(クリックで拡大)
北岳から見た西側の展望(クリックで拡大)
北岳から見た中央アルプス
北岳から見た槍穂
北岳から見た八ヶ岳
北岳の影 北岳から見た北岳山荘
タカネビランジ。鳳凰三山のより白かった ボーコン沢ノ頭
間ノ岳へ向かう シオガマの類
北岳を振り返る
稜線西側に道が続く 八本場のコル分岐
八本場のコル方向
すれ違う登山者は多い 北岳を振り返る
北岳山荘とテント場。テントは既にかなり減っている。もう雪は完全に消えていた
北岳山荘 鞍部より登り返す
まずは中白根山へ 振り返ると尖った北岳
なだらかな中白根山へと詰める 中白根山山頂
中白根山から見た西〜北の展望(クリックで拡大)
中白根山から見た槍穂
中白根山から見た南側の展望
間ノ岳へ向かう
懐かしの黒檜山 まだ偽ピーク
あれが間ノ岳 振り返る
まだまだ登る 日差しは強いが風があり意外に涼しい
伊那谷方面の展望
やっと間ノ岳山頂が接近
間ノ岳山頂 間ノ岳から見た富士山。噴火!?
間ノ岳から見た白根南嶺
間ノ岳から見た東〜南の展望(クリックで拡大)
間ノ岳から見た西〜北の展望(クリックで拡大)
間ノ岳から見た南ア南部(クリックで拡大)
間ノ岳から見た槍穂。北岳の時よりもくっきり見えた
間ノ岳から見た乗鞍岳
次は農鳥岳向けて出発 間ノ岳山頂を振り返る
間ノ岳から東に延びる尾根。いつか登ってみたい気もする
間ノ岳直下から見た農鳥岳
農鳥小屋へと下る 熊ノ平分岐
農鳥小屋 農鳥小屋北側のテント場
農鳥小屋南側のテント場
農鳥小屋付近から見た熊ノ平小屋 農鳥岳への登り
間ノ岳を振り返る
もう少しで西農鳥岳
3040m肩からの展望
人だかりが地形図の3050m峰 地形図の3050m峰に西農鳥岳山頂標識が立っている
3050m峰から見た間ノ岳
3050m峰から見た東農鳥岳、塩見岳
地形図上の西農鳥岳直下。前方は大パーティーで渋滞中 これが地形図上の西農鳥岳
地形図上の西農鳥岳山頂 地形図上の西農鳥岳から見た3050m峰
地形図上の西農鳥岳から見た間ノ岳 地形図上の西農鳥岳から見た三伏小屋
地形図上の西農鳥岳から見た大パーティー 地形図上の西農鳥岳から見た大唐松山
東農鳥岳に向かう
振り返る 最後の登り
東農鳥岳(農鳥岳) 大唐松山へ続く尾根
東農鳥岳から見た南〜西〜北の展望(クリックで拡大)
下降点へ向かう 振り返る
下降点。先行の大パーティーが休憩中 下降点から見た広河内岳。今回はパス
下降点直下から農鳥岳を振り返る
下降点から見た大唐松山 下降点より下る
無雪期はトラバース気味に下る 樹林帯へ突入。日影がうれしい
結構膝に来る下り 沢に接近。ここで水浴びすればよかった
小さな尾根を下る 手作りっぽい橋
2つ目の橋で水浴び 20年ぶり近い大門沢小屋。前回の記憶なし
小屋奥のテント場
小屋手前のテント場 小屋手前のテント場
小屋の裏で沢に出られる。水浴びに最適 稜線はガスの中
翌朝、出発時のテント場 正面に富士山が見えた
右岸から左岸へ 左岸から右岸へ
右岸から左岸へ 沢沿いの道
高巻き 何故か地面からホースが生えている
ドラム缶。2個あった ブナ林
たまに急激に高度を下げる 手作り感バッチリ
巨岩を巻く 最初の吊橋。この下に取水堰あり
水力発電用取水門 この先は巡視路らしい
2つ目の吊橋 土石流の跡?
正しい登山道はここより上だったようだ 砂防ダム
最後の吊橋。とんでもなく立派 工事現場入口で林道に出た
休憩所 以前、大唐松山に登った時に利用した巡視路入口
広河内(大門沢)方面ゲート 開運隧道入口の大門沢方面入口
発電所事務所 早川を渡る橋
奈良田第2駐車場。まだ余裕あり
カーブミラーで自分撮り。2泊幕営だが45リットルザック 奈良田第1駐車場到着


 今年のお盆休みは異常高温と好天の予報。地上付近の太平洋高気圧と上空のチベット高気圧が重なって張り出していて、夕立ちはあっても1日雨が続くような天気はしばらく来なさそう。下界は35℃を越える高温で暑すぎるため例年通り3000mの稜線へ避暑に出かけることに。今年は諸事情を勘案してのんびりと白根三山縦走とした。奈良田に車を置いて広河原に入り、白根三山を縦走して大門沢から奈良田に下る2泊3日のコース。のんびり歩くにはこれくらいでちょうどいい。

 奈良田のバスは立たされる可能性があることは昨年の経験で分かったので、バスの始発となる第1駐車場を優先、幸いまだ空きが2,3台あったので場所確保。これで一安心。この日は夜の奈良田でも気温は高めで、車のドアを開けないと暑くて寝られなかった。翌日明け方には次々と登山者の車がやってきて駐車場はあっという間に埋まり、残りは第2駐車場へ向かっていった。

 バス停には始発の30分前に並んだが第1駐車場のキャパは少なく、駐車した全員がバスに乗り込んでも空席が出るくらいでもっと寝ていればよかったと後悔。平日はバス1台で運行だったが、今日は少なくともバス3台がやってきて1台が第1駐車場始発、2台が第2駐車場始発となった。ただし、この路線のバスは補助席が無く、座席が埋まったら立ちっぱなしは昨年と同じ。第2駐車場に止まっていた2台のバスは立った客を含めて満員状態であった。この状況を考えると、第2駐車場に車を入れたとしても第1駐車場まで歩いてバスに乗った方がいい。

 1時間弱バスに揺られて広河原到着。芦安からのバスも合流しかなり賑わっている。軽く朝飯を食ってから出発。広河原山荘で500ccを給水。別に500ccの飲料があるので計1リットル。広河原山荘には既にいくつかテントが見られた。

 本日の宿は肩の小屋の予定で、ルートは白根御池は通らずに右俣から登ることにする。最初は大樺沢左岸に道が続く。出だしは日帰りと思われる軽装の登山者にたくさん追い越されたが、長年の経験でもこんなことは初めてだ。最近は交通機関による「時間制限」がある北岳でも日帰りが増えているのか。私もその気になれば日帰り可能だが、暑い下界にトンボ帰りはご免だ。のんびり登って涼しい稜線でのんびり過ごすのが今回の目的である。急ぐ必要はないので、後ろから迫ってくる足音を認識したら広い場所で道を譲った。

 以前の登山道はずっと左岸側にあったが、斜面崩壊のためか一部区間で右岸に付け変わっているのは前回経験済み。冷たい水が流れる支流を横切りながらなので、あちこちで汗を洗い流せるのはうれしい。天気は快晴、右岸は尾根に邪魔されてまだ日影だが左岸側に移ると日向になって暑い!

 高度が上がって樹林帯を抜けると二俣は近い。草付きでお花畑が広がる。見上げる大樺沢の雪渓はかなり後退し、二俣近辺では部分的に残っているだけ。昨年はたっぷりあったが。ここで休憩する人が多いが、まだ体力的に問題無いのでそのまま進む。右俣の沢はまだ雪がたっぷりだが、登山道は沢より一段高い場所に付いているので雪に触れることはできないし涼しさも感じられないのは残念だ。結構な急登で先が見えるが、ほとんど下りの人ばかりで登りの人の姿が見えない。

 途中、傾斜が緩んで開けた場所が1か所あるが、木陰で休憩する登山者もいる。さらに高度が上がって森林限界ぎりぎりのところで休憩。ここは昨年も休憩した場所で、これより上部は森林限界を超えて日影が無くなるので、涼しく休める最後の場所だ。もう標高2500mを越えてそこそこ気温は下がっているはずだが、東斜面で日差しが強く、体を動かしていると大量の汗をかく。日影で休んでいる分には充分涼しいが。

 体を休めて暑い中を出発。すぐに森林限界を超えてカンカン照り。麦わら帽子が役立つ。森林限界を超えると再び草付きになって花が増える。白根御池からの登山道を合わせると小太郎山分岐は近い。ジグザグに登りきると小太郎山分岐、稜線に出ると西寄りの風が心地いい。今までは稜線東側で風が来なかったこともあって暑かったらしい。

 ここから先はアルプスらしい豪快な稜線歩き。既に標高は2850mを越え、風さえあれば日差しが強くともそれなりに涼しい。見える範囲では登っている登山者よりも下ってくる登山者の方が圧倒的に多く、私を追い越していった軽装日帰り組は八本場経由で登っているか、ここまでの間のどこかで休憩中に私が追い越したかどちらかだろう。先行で登っている登山者もここまでくるとペースダウンで道を譲ってもらう。

 ほどなく肩の小屋到着。テント場に見えるテントは1つだけ、どうも無人らしく主は農鳥岳か間ノ岳まで足を伸ばしているのだろう(実際は間ノ岳往復だった)。本日入山した中では私がテント組1番乗りらしい。小屋で手続きを済ませ、端の方で小さなスペースを確保。しかしこの日はなかなかガスが上がってこずに直射日光でテントの中は温室状態、中に入れなかった。ガスが出たのは甲府盆地側だが西風が吹いているので押し戻されてしまい、太陽がある信州側は晴れたまま。夕方近くまでこの状況が続いた。ラジオで天気予報を聞くと本日の甲府の最高気温は40.7℃! 甲府での観測史上最高気温とのこと。高知県四万十市でも同じ最高気温。甲州市も40℃越えのとんでもない日だった(翌日、四万十市で最高気温41℃の史上最高を記録)。

 肩の小屋は幕営者も水の購入が可能であるが、せっかく水場があるのだから毎回汲みに行っているので今回も。水場はテント場から標高差約100m下ったところにあり、草付きのお花畑を下っていく。農鳥小屋の水場は枯れているとの情報だったがここは大丈夫だろうか。ちょっと心配しながら下って水場マークのある小さな谷に到着すると、かなり流れが細いがまだ水が出ていた。500ccのペットボトルを満タンにするのに1分くらいかかる細さだが、これでも充分だ。ただ、このまま大した雨が降らないとそのうち涸れてしまいそうな・・・。水浴びして全身さっぱり。

 日が傾いてくると稜線東側のガスに晴れた稜線西側から日差しがあるのでブロッケン現象発生。これはいい出来事だった。結局、この日は雨に降られることはなかった。テント場は夕方にはほぼ満杯になったが、いつぞかの海の日3連休に登った時よりはテント数は少なかった。それでも稜線東側には張りきれず、風が当たる稜線西側に張ったテントもいくつかあった。夕方の風は弱かったが夜から明け方はそこそこ強かったので、稜線西側はちとつらかったかな。一人でテントを設営・撤収するときに風があると苦労する。

 翌朝、3時に起きると一面の星空。周囲のテントも活動開始の時刻だ。飯を食ってテントを畳んで4時半前に出発。この時期の日の出はおよそ5時で、当然、周辺はまだ暗くライトを点けての出発。稜線上には点々とLEDライトの光が見えている。山頂で日の出を迎えられるか微妙な時間での出発だが、山頂でのご来光が目的ではないので途中で日の出を迎えても構わない。

 1級の道なので岩場で周囲が暗くてもルートに迷うことはない。出発時は西風もあって涼しいので上は長袖シャツを着ていたが、途中で毎度のTシャツ姿に変身、放熱効果を上げる。気温は10℃弱と、この時期としては高い方で寒くはない。15分もするとライト不要の明るさに。水平線付近は雲が出ていて日の出は遅くなりそうだ。

 山頂手前の3180m峰は西を巻いて賑わう山頂を目指す。この偽ピークは巻き道とてっぺんを通る道と2つあり、知らないと自然にてっぺんに引き込まれる。山頂は2,30人はいそうな賑やかさ。5時になってもまだ太陽が上がってこず、10分遅れくらいの日の出となった。残念ながら奥日光方面は見えず、北アはかなり霞んでいた。今日も上天気、暑くなりそうだ。

 30分ほどの滞在で間ノ岳へ出発。北岳山荘からの登山者が続々やってくる。北岳山荘のテント場は既に出発した登山者が多く残ったテントの数は少ないが、今日の夕方は混雑するだろう。山荘前を素通りして中白根山への登り。森林限界の続く長い稜線。間ノ岳を挟んで南北の稜線は、日本一長い3000mを越える稜線だそうだ。北アの槍〜南岳が一番長いかと思ったらそうではなかった。その槍穂は時間経過とともに霞んでいた姿が次第にはっきりしてきた。

 休憩の登山者が目立つ中白根山も通過、間ノ岳を目指して進む。なだらかな稜線歩きでほとんど汗もかかず快適だ。最後に突き上げて間ノ岳山頂。ここも休憩する多数の登山者。大パーティーもいてガイドと思しき男性が山岳同定の説明をしていた。さすがガイド、正確だった。ただし、大無間山や二児山、奥茶臼山、黒檜山などは挙がらなかった。私もここでしばし休憩。間ノ岳に最初に登った時はガスっていて寒くて風が強く、鼻水を垂らしながら震えていた記憶があるが、その後の縦走では毎回快晴だ(天気が良さそうな時しか行かないので)。

 早めの昼飯を食って農鳥岳に出発。しばらくは広い稜線や斜面を下るためガスったらイヤな場所だが、今日のように晴れていると気持ちのいい場所だ。ただ、これだけ天気がいいと雷鳥は出てこない可能性が高い。今回の縦走ではライチョウは1羽も見ることができなかった。農鳥小屋手前で大パーティーに追いついたが、どうせ小屋で休憩するのだろうと追い越しはしないで後に続く。案の定、小屋で休憩に入り、私は休まず足を進める。農鳥小屋の水場は枯れているそうだが、ここで給水の必要はないので問題なし。

 西農鳥岳の登り返しは急な登りできつく、先行者を次々と追い越すことになった。これで標高が低ければ大汗をかくところだが、3000m近い標高だし風通しもよく、直射日光にさらされているにもかかわらずほとんど汗をかかずに済んだ。3040m肩で登山道は東へ直角に曲がり、人だかりの3050m峰は目の前だ。昨年は無かった山頂標識が立っているのが見えるが、まさか西農鳥岳の山頂標識か? 地形図ではその東隣のピークが西農鳥岳なのだが。まあ、両者の高さは目視でほとんど同じに見えるので大きな問題はない。まだガスは上がっておらず展望が楽しめた。ここまで来ると塩見岳が近い。

 3050m峰に登るとさきほどまでここで休んでいた大パーティー(20人くらい)が東農鳥岳向けて進行中。しかし速度が遅く渋滞発生で、あのパーティーがだいぶ先に進んでから出発した方がお得と判断し、地形図上の西農鳥岳山頂でしばし休憩。こちらは山頂標識は無く道は僅かに巻いているので山頂を訪問する登山者は無しでゆっくり展望を楽しむ。例の大パーティーは登山道の途中に何か障害があるのか大渋滞中。こりゃ、この先の登山道でもこんな状況だったら困るなぁ。

 パーティーが東農鳥岳直下に達したのを見計らって出発。もう登山道の渋滞はなく快調に進む。当然、この時間に農鳥岳の稜線を歩いている登山者は大門沢に下って大門沢小屋で宿泊と思われるが、小屋やテント場は結構な賑わいになりそうだ。15年くらい前に白根三山を縦走したときの大門沢小屋の記憶は全くなく、どんなテント場だったのか、混雑状況はどうだったのかも思い出せない。

 西斜面をトラバース気味に登りきると東農鳥岳山頂。大パーティーは東に一段下がった場所で休憩中。このパーティーより先に出発しようと考えてながら休憩していたら、意外に行動中は静かで気付かないうちに先行されていた。まさか大門沢小屋でテント泊とか言わないだろうな。あの人数だとかなりの場所を占有するだろう。大門沢小屋のテント場の広さは分からないが、あのパーティーよりも先行した方が良さそうだ。

 好天の農鳥岳を出発。しばし稜線東側を歩くことになり西風が遮られて暑い! これから標高が落ちるともっと暑くなるんだなぁ。甲府盆地側に雲が湧いているがこの辺はまだ晴れのエリアの中。もう展望はいいからガスって涼しくなってくれないかなぁ。下降点まで森林限界が続くので日影は無い。

 下っていくと下降点で休憩中の大パーティーの姿が見えた。これなら先行できそうだ。今回は上河内岳はパス、白根南嶺はまたいつか。南嶺に進んでいく登山者の姿が1名見られた。でも縦走するのか上河内岳ピストンかは不明。

 下降点では休憩せずに大門沢向けて下った。最初はジグザグに下り、そのうちに右手の尾根をトラバースするように下っていく。風がなく暑い! やがて樹林帯に入るが最初は薄いダケカンバで日向も多い。シラビソ樹林に変わってやっと日影に入るが、今度は高度が落ちて気温が上がってくる。登山道は大門沢のすぐ脇にあるのかと思ったら右岸側の高い位置にあって沢に下りにくい。唯一、大門沢に最初に接近した個所が河原に下れる場所だったが、どうせ下流でも下れるだろうとそのまま進んだら失敗。本流に下れる個所は小屋まで無かった。その代わり、水が流れる支流が2個所あり、最初の沢で水浴び。生き返る心地良さ。なお、大門沢小屋でも水浴びは可能だった。

 久々の大門沢小屋に到着。テント場は小屋の上方にいくつかあり、ここにザックを置いて幕営手続き。そうしたら小屋の南側にテントを張れとの指示。確認するとここにもテント場があり、比較的狭い場所が多く個人のテントを張るのにちょうどいいように見えた。トイレ、水場も近い。なお、水は小屋の前の蛇口。水源は大門沢ではなく、小屋の裏の斜面からホースが伸びていた。私が到着したときはまだテントは2,3張だったが夕方には満杯になった。肩の小屋は北岳山荘と比較すればテント場は狭かった。この日も日中は日差しがあって暑かったが、確保した場所は木陰で助かった。夕方には雷が鳴ったが音だけで、甲府盆地では夕立があったようだがこの辺はガスは出ても雨なし。夜間は満天の星空でペルセウス流星群極大日前だったが20分で6,7個の流星を見ることができた。ただし、そのうち1個は流星群とは無関係の流星だったが(飛んだ方向で分かる)。

 翌朝、今日は下山のみなので明るくなってから出発。既にテントは半分くらいが無くなっていた。正面の谷には雲海に浮かぶ富士山。今日も快晴が期待できるが下界はクソ暑いだろうなぁ。

 登山道は小屋から僅かに農鳥側に登り、大門沢に沿って下っていく。手作り感の強い橋で右岸左岸と渡り返し、右岸に渡ってからは沢から離れて高巻き開始。高度が下がると広葉樹林帯に変わりブナが目立つようになる。昔にこんな場所を歩いたのかも既に記憶に無い。点在する下りの登山者を追い越していく。水が流れる支流を2か所ほど橋で渡るが、最初の沢で軽く水浴び。まだ谷間に日差しは差し込まないのでそこそこ涼しいはすだが標高が落ちてきたので気温は上がっている。2つ目の沢の付近では石だと思って足を置いたのが木で、転がってコケて左足に擦り傷。沢で傷口を洗って絆創膏を貼りつけた。今回の怪我は表面の皮膚だけなので、6月の中倉山の6針の怪我と比較すればどうということはない。そうそう、あの傷は完治と言えば完治したが、傷跡がが硬くなって盛り上がり、親指の曲がる角度が狭くなってしまった。触った時の痛みは僅かに残るのみだが、傷跡を何かにぶつけるとまだ痛い。何年かするとこの痛みが消えるかなぁ。1回だけ傷跡が猛烈に痒くなり、えらく腫れあがったこともあった。痛いよりも痒い方が我慢できないので、これは2度と生じてほしくない。

 次に沢に接近するのは吊橋を渡るところで、発電用取水堰の上にかかる吊橋で左岸へ。取水用施設があり、その先は巡視路らしく手すりが設置されていた。次の吊橋で右岸へ渡り返すと土石流の跡のような広い河原が出現。右岸は造成工事がなされて整地された砂利の斜面になっており、斜面の中間地点に人が歩けるように棚のような水平の歩道が設けられていた。ただし、正しい登山ルートはこの「棚」ではなくもっと上を巻くような道らしく、棚を歩いて大きな砂防ダムに接近すると立入禁止のロープが出現。そのロープの向こう側(右側)に登山道があった。砂防ダムまで林道が来ており、これを歩くのかと思ったらまだ登山者用の登山道を歩くようだ。

 砂防ダム下流側に下って林道に沿った登山道を歩くと、やたらと立派な吊橋登場。その下には林道と車が通過できる橋があり、吊橋の存在意義が・・・・。左岸に渡ってちょっとだけ登山道を歩くが、すぐに眼下の林道に下る。これ以降は林道歩きだ。今は砂防ダム付近は工事中で吊橋を使って登山者が迂回するメリットがあるが、工事が終わったら吊橋の出番は無くなりそうだ。

 舗装された林道もまだ東の稜線に邪魔されて日差しが無く涼しく歩けた。標高が落ちて気温は上がっているが、緩やかな下りで運動量も落ちているので体の発熱が減って涼しく感じる。施錠されたゲートを通過すると左の斜面に祠が登場、ここから発電所導水管の巡視路が始まっていて大唐松山へのルートとして利用したんだったな。ゲートから開運隧道までは近い。開運隧道から先はマイカー規制で昼間は「番人」が駐在している。番人に今朝下山した人がいるか聞いたら私が最初だとのこと。いつの間にか全員追い越してしまったようだ。県道を歩いていると奈良田発のバスが広河原へと登っていった。たぶん本日2番目の便で、台数は1台のみだった。奈良田第2駐車場は車は多いが満杯まではまだ余裕あり。バスが出発した直後なので並んでいる人の姿は皆無。第1駐車場は満杯で無人。着替えてトイレを済ませて暑い下界へ。

 お盆期間中だが本日は平日、高速道路の割引も通常の平日扱いで土日祝日の半額ではない。午前9時までの通勤割引に間に合えば半額なので(ただし走行距離が100km以内)、それに間に合うよう中央道を目指し、甲府南ICに入ったのはタイムリミット2分前だった。

 

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